図解でわかるリースの実務 いちばん最初に読む本/六角明雄


業界勉強用。
リースの仕組みについて、法律・会計・税務の視点から記載されているので全体像をつかめる


【目次】
第1章 そもそも「リース」とはどういうことか?
第2章 リース取引の流れと契約のしくみを知っておこう
第3章 リース取引に欠かせない法律の知識
第4章 リース取引にまつわる会計処理のしかた
第5章 リース取引に対する法人税の取扱いと税務処理
第6章 かしこいリースの活用法はこれだ!


【概要】
第1章

  • リース契約の特徴は、融資を受けて、機会・設備を購入する場合に近い契約となっている点
    1. リース期間中の中途解約はできない
    2. リースされた物件の保守・修理はリース物件を利用しているものが行う
    3. リースされた物件に欠陥があったときは、所有者であるリース会社ではなく、リースされた物件を販売した会社が責任を負う
  • リース取引の3つの特徴
    1. 賃貸借契約の1つ:法律的には賃貸借契約の1つ
    2. 金融機能を持つ:融資を受けて購入した場合に近い、リース利用者がリース物件を指定して、リース会社がそれを購入
    3. サービス機能を持つ:資金調達や固定資産税の納付、減価償却費の計算、動産保険の加入、廃棄をリース会社が実施
  • 機械・設備を購入する場合と比較して、リースは早く費用化(償却)することができる(耐用期間と異なり、リース期間は自由に設定可能)
  • 割賦販売、融資と類似している、耐用年数よりも短い期間のみ利用したい場合はリースが適している
  • ファイナンスリースとは融資を受けて機械・設備を購入する場合と経済的効果が変わらず、金融機能としての正確が強い取引
    1. non cancelable:中途解約ができない
    2. full pay out:リース物件の購入とそれに付随する費用を上回る金額をリース利用者が負担する
  • オペレーティングリースは、ファイナンスリース以外のリース(自動車リース等)
  • 保守をリース会社が行うものをメンテナンスリースと呼ぶ(サービス機能としての側面を強化したもの)
  • sale and lease backは、リースの利用者が購入したものをリース会社が買い取って、そのままリースする契約で、以下のようなケースで用いられる
    1. 多種類の資産を導入する必要があり、直接利用者が購入したほうが事務の効率化に資する
    2. 輸入機器のように通関事務等に専門的知識が必要とされることがある
    3. 従来の利用者と購入先の取引状況に鑑みて、利用者が資産を購入するほうが安く購入できる
  • リース料の内訳は以下
    1. リース物件購入代金
    2. 金利
    3. 固定資産税、保険料
    4. 手数料

第3章

  • リース取引は典型契約ではない(典型契約とは、民法で規定されている契約で、売買契約や賃貸借契約等)
  • 瑕疵担保責任サプライヤーが負い、ユーザとの間で直接解決する
  • リース物件引渡し前の危険負担はサプライヤーが負い、リース期間中の危険負担はユーザが負う
  • リース物件が修理不能となった場合、ユーザが損害賠償金をリース会社に払う。リース物件に対する保険金がリース会社に対して払われた場合は、ユーザからリース会社に支払う損害賠償金が減額される

第4章

  • リース会計基準においては、リース取引の開始時に、リース料総額などから計算される金額を「リース資産」「リース債務」としてそれぞれBSの資産・負債に計上、リース料の支払に伴いリース債務を減額し、リース資産を減価償却する
  • リース会計基準が適用されるのは上場会社等とその連結子会社等、中小企業は賃貸借契約として処理できる
  • ファイナンスリースは売買取引と同様の会計処理、オペレーティングリースは賃貸借契約として会計処理
  • Full pay outの判定基準は、以下のいずれかに該当するか否か
    1. 現在価値基準:リース料総額の現在価値が当該リース物件をユーザが現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額の90%以上
    2. 経済的耐用年数基準:リース起案が、当該リース物件の経済的耐用年数の概ね75%以上
  • リース物件の所有権が最終的にユーザに移る場合を「所有権移転ファイナンスリース」といい、以下の基準で判定
    1. 譲渡条件付リース取引
    2. 割安購入選択権付リース取引
    3. 特別仕様物件のリース取引
  • 所有権移転ファイナンスリースは、自己所有する資産と同じ方法で減価償却
  • 所有権移転外ファイナンスリースは、リース期間定額法で減価償却
  • 重要性の乏しいリース資産は賃貸借取引としての処理が可能
    1. リース料総額が、購入時に費用処理する資産の基準額以下
    2. リース期間が1年以内
    3. リース契約1件のリース料総額が300万円以内(所有権移転外ファイナンスリースのみ)
  • リース会社の会計処理
    1. リース料総額を売上高に計上、同額をリース投資資産に計上
      リース料の受け取りにあわせてリース投資資産を減額
      利息相当額の翌期以降に受け取る分について繰延処理
    2. リース物件の購入価額をリース投資資産として計上(買掛金もあわせて計上)
      リース料を受け取った際にそれを売上高として計上
      受け取ったリース料から利息相当額を引いた分を売上原価として計上
    3. リース物件の購入価額をリース投資資産として計上(買掛金もあわせて計上)
      リース料を受け取った際に利息相当額を受取利息として計上、残りをリース投資資産から減額