工場のしくみ/松林光男、渡部弘


工場で行われる業務について整理した本。初心者向けにまとめられている。

工場業務について理解する必要があったために読んだものだが、
業務を管理するという点では歴史が長いこともあり、
ある程度、日々の業務にも敷衍できる考え方もあるだろう。



第1章 工場とは何か

  • 組立型:部材を集めて加工・組み立てを行い製品化するタイプの産業(自動車や家電 等)
  • プロセス型:素材を化学的に変化させて製品化(石油化学、薬品、製鉄 等)
  • 購買⇒製造⇒販売の横の流れ、開発・設計⇒製造の縦の流れが工場の基本、あらに原価・品質や財務等の管理が加わる

第2章 工場見学!モノがつくられる工程をみる

  • 大きな工場(従業員300人以上)は全体の1%もないが、出荷額は全体の50%を占める

第3章 さまざまな生産のしくみ・タイプ

  • 工場の分類
    1. 加工プロセスによる分類:プロセス生産/アセンブリ生産
    2. 製品の種類と生産量による分類:少品種多量生産/多品種少量生産
    3. 機械の配置による分類:フローショップ型生産/ジョブショップ型生産
    4. 組立の方式による分類:ライン生産/セル生産
    5. 生産指示方法による分類:プッシュ生産/プル生産
    6. 生産指示単位による分類:連続生産、流れ生産、繰返し生産、フロー生産/ロット生産、バッチ生産
    7. 在庫ポイントによる分類:見込生産/受注生産
  • ジョブショップ型では装置が加工機能ごとに集められ、それぞれが1つの加工センターになる。多品種少量生産で一般的。
  • フローショップ型では製品の加工順に装置を配置。ある程度まとまった生産量がある場合に採用
  • ライン生産は、作業の単純化により人件費を抑制可能、一定の生産量にあわせて最適化されているので変化に対応しづらい
  • セル生産は、1人あるいは少人数で作業所(セル)を作り、そこで製品を製造。作業者に要求される技能レベルが高くなるが、生産量の増減、工程変化に対応しやすい
  • プッシュ生産は生産を効率よく進めるための計画を立て、そのとおりに生産。不要な製品が生産されることも発生
  • プル生産は後工程が引き取った分だけを前工程から補充。(トヨタ生産方式

第4章 工場全体のしくみ

  • 情報の流れ(概要)
    1. 新製品が開発されると製品に関する情報が工場に連携:基準情報(品目情報、部品表などから構成)
    2. 工場では生産技術部門が工順表を追加し生産準備
    3. 営業部門では販売計画を作成
    4. 営業と生産管理部門が販売計画をもとに生産計画を作成
    5. 生産計画をベースにした部品の発注タイミング等:MRP(資材所要量計画)
  • 工場業務の全体像
    1. 販売管理:販売計画策定
    2. 生産計画と調整:販売計画に基づき、生産計画を作成
    3. MRP:基準生産計画および基準情報をベースに必要な資材を計算
    4. 開発・設計:基準情報策定(製品製造に何がどの程度必要か等)
    5. 工程管理:製造の進捗等を管理
    6. 購買管理:資材の発注・納品状況を管理
    7. 在庫管理:資材、製品の入出庫管理
    8. 経理:支払・買掛管理
    9. 原価管理;製品の原価計算を実施

第5章 レポート・工場の各部門担当者の1日 

  • 技術開発部門:製品企画、製品開発、設計、試作
  • 生産技術部門:工程設計、設備導入保守、設備情報保守
  • 生産管理部門:生産量・納期管理、資材・製品の在庫管理
  • 購買部門:購買方針の設定、購買計画の策定、購買活動、購買活動管理
  • 製造部門:製造指示、作業、実績収集、進捗管理、実績評価
  • 品質管理部門:品質管理システムの構築・運用

第6章 開発・設計の仕組み

  • コンカレント・エンジニアリング方式:開発・設計・試作・準備を同時並行で実施する方式。量産体制のいち早い確立等を目指す
  • 製品ライフサイクル全般にわたる収益性管理の実現に向けた考え方をPLMという
  • PDMを核に、SCM・ERPなどのサブシステムと製品に関連したすべての情報を共有化することで成立

第7章 生産管理の仕組み

  • 生産管理の機能体系
    1. 生産計画・その他計画:生産量と生産時期に関する計画管理
    2. 基準情報管理:品目情報、製品構成情報、製造工程に関する除法、機械・設備に関する情報の管理
    3. MRP:生産計画、製品構成情報、在庫情報に基づいて資材の必要量、時期を計画
    4. 購買管理:適正な品質の資材を調達するための管理
    5. 在庫管理:適正な在庫水準を維持するための管理
    6. 工程管理:生産工程の進捗状況を把握・管理
  • 販売部門と生産部門が協力して適切な在庫を作成する業務を「生販在計画」と呼ぶ
    1. 市場の売れ筋や過去実績、前回までの計画および販売目標に基づいて販売計画(機種別・期間別)を策定
    2. 現在の在庫、工場の能力を加味して期別の在庫量を計画(販売側の希望として)
    3. 過去の計画と生産実績および生産設備の拡充計画に基づき、生産能力を算出(機種別・期間別)
  • MPS(Master Production Schedule):製品レベルの詳細計画
  • 基準情報:製品定義情報、製造工程情報から成る。一般的にはBOMと呼ばれる。それぞれの部品についての詳細は品目情報として別にまとめられる。
  • MRPの運用には、MPSがあり、製品を定義する情報がBOMとして管理されており、在庫管理されていることが必要

第9章 原価管理の仕組み

  • 原価管理の4つの仕事:原価企画、原価計画の作成、原価改善活動、原価活動の管理
  • 原価計算の手順
    1. 費目別計算:材料費、労務費・経費の3費目のそれぞれの原価を計算、さらに直接費・間接費に区分
    2. 部門別計算:間接費を直接製造にかかわる製造部門と補助的な作業をする補助部門に分ける
    3. 製品別計算:直接費はそのまま計算、間接費は一定の基準で配賦

第10章 品質保証(QA)とは何か

  • 検査重点主義⇒工程管理重点主義⇒新製品開発重点主義 と上流に重点が移動
  • シックスシグマ:品質のばらつきを除去する考え方。DMAICの流れで設計