半導体業界の動向とカラクリがよくわかる本/秀和システム
半導体業界の基本について。
半導体といっても、意外とそもそも何をどう作っているのか理解していないところがあるので参考になる。
ただ、工程が難しいのもあるのか、半導体自体と業界の理解は分けて、それぞれもう少し詳しい書籍で補完したほうが無難か。
【目次】
第1章 半導体業界の基本と仕組み
第2章 グローバル経済における半導体業界
第3章 半導体業界の主要メーカー
第4章 半導体製造の技術を知る
第5章 半導体を使ったアプリケーション
第6章 半導体産業の今後と未来
【概要】
第1章
- 真空管→トランジスタ→IC→LSIへと進化
- 半導体の製造工程は主に以下の4つ。全てを1社で担う垂直統合型(IDM)と専業メーカーが分業する水平分業型が存在
- 開発:IPプロバイダ
- 設計:ファブレスメーカー
- 製造:ファンドリメーカー
- 組立:組立メーカー
- 開発:IPプロバイダ
第2章
- 半導体はGDPの約1%を占め、川下の電子産業や川上の半導体製造装置産業等を含めると5%に及ぶと言われる
- シリコンサイクル:好況→設備投資→注文の増加→新しい設備の稼動→供給過剰→安売り・新商品開発→新たな半導体需要→好況
- 半導体産業は設備に巨額の投資を要するため、リスク回避のために、生産受託契約の締結、販売金額の前倒しでの受け取りを行うケースもある
- 半導体の設備投資はメガバトルとミニファブの二極化
- 日本においては、半導体を専門に取り扱う半導体商社にはメーカー系列と独立系の2つが存在
- 米国においては、世界規模で事業展開するMega-Distributorとエリア単位で技術的なサポートを行うRepresentativeが存在
- Mega-Distributorは米国内だけでなく海外にもネットワークを拡充し、ワールドワイドな体制を整備、半導体メーカーと直接の取引はしない
- Representativeは半導体メーカーが指定したエリア内で、ユーザ企業の技術サポートをするのが仕事、大量の在庫を持たない
- 半導体工場のことをファブと呼び、工場を持たないメーカーをファブレスメーカーと呼ぶ
第3章
第4章
- N型半導体:負の電荷を持つ自由電子がキャリアとして移動することで電流が生じる
- P型半導体:正の電荷を持つ正孔がキャリアの多数を占める
- シリコンウエハ製造
- 単結晶成長
- ウエハ切断
- 鏡面研磨
- 洗浄
- 単結晶成長
- トランジスタは動作原理からMOS型とバイポーラ型に分類、さらにバイポーラ型は、NPNトランジスタとPNPトランジスタの2種類に分類できる
- バイポーラ型:電流増幅やスイッチング機能が主な役割で、航空宇宙や防衛、民生機器などで利用
- MOS型:モバイル端末、PCのICやLSIで利用
- システムLSIはCPUやメモリ、そのほかの電子機器に必要な周辺回路などを1チップに集積した半導体素子
- マイクロプロセッサのアーキテクチャ設計手法はCISCとRISCの2つが代表的
- CISC:可変長の複雑な命令セットや多種多様なアドレッシング機能を持つ(PCなどの汎用機で利用)
- RISC:命令の種類を減らし、回路を単純化して演算速度の向上を図る(ワークステーションやスーパーコンピュータなどで利用)
- ユーザの要求に応じて回路形成を変更することが可能なオーダーメイドの半導体がASIC、以下の4種類
- gate array:下地を予め製造し、配線層をユーザ要求に応じて作成
- cell base:設計済みの機能ブロックが配置、個別ロジック回路と配線層を作りこむ
- embedded array:設計済みの機能ブロックをgate array下地の一部に埋め込む
- structured ASIC:gate arrayの下地に加え、汎用機能ブロックを組み込み
- gate array:下地を予め製造し、配線層をユーザ要求に応じて作成
- 半導体工場の設備投資は前工程に8割、後工程に2割
- 前工程:シリコンウエハ→素子分離形成→トランジスタ形成→配線形成→保護膜形成→裏面研磨→プローブ検査
- 後工程:ダイシング→ダイボンディング→ワイヤボンディング→パッケージング→最終検査
- 保護膜形成の技術には、主にスパッタリングとCVDがある
- 露光作業:半導体の回路パターンをウエハ上に焼き付けていく作業(フォトリソグラフィ技術が利用される)
- エッチング:リソグラフィで生成されたパターンに沿ってウエハの加工を行う作業(ウェットエッチング/ドライエッチング)
- ダイシング:ウエハ上に形成されたチップを、個々のチップに切り出していく作業
- ボンディング:切り出されたチップをリードフレームのマウントアイランドに貼り付ける作業
- パッケージング:ベアチップをパッケージングする
第5章
- 次世代アプリ:民生機器(デジタル家電)、産業機器(自動車が牽引)、新分野(MEMS、ナノバイオテクノロジー)
- デジタル家電:AV機器、映像機器、ゲーム機、スマート家電
- カーエレクトロニクス:車載ネットワーク、自動運転
- セキュリティ機器(監視カメラ、センサ)
- セキュリティカード、プリペイドカード、ICタグ
- MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサや医療分野、バイオテクノロジー分野で活用
第6章