新人SEのための会計&業務の基礎知識/岩谷誠治


SEの観点から、会計・業務・システムの3領域を説明した入門書。
システムに特化しているというわけでもなく、初歩的な会計・業務も説明しており、
管理部門の業務の概要理解や会計の基礎的な知識を得るには良い。



【目次】
第1章 会社・会計の構造
第2章 経理
第3章 営業部
第4章 購買部
第5章 経営企画部
第6章 製造部
第7章 人事部


【概要】

  • 親会社が議決権の過半数を所有:子会社
    議決権の20%以上50%未満を所有:関連会社
  • 組織図を見るポイント(組織のパターン)
    1. 本部制:各部門を職種別にくくって本部とする(営業本部、管理本部、製造本部等)
    2. 事業部制:組織を事業別に区分し、組織内の意思決定のスピードを向上
    3. カンパニー制:各事業部門を社内分社化し、独立採算を徹底
  • 内部統制の目的は以下の4つ。これらが達成されているという合理的な保障を得るために業務に組み込まれるプロセスを内部統制という。
    1. 業務の有効性及び効率性
    2. 財務報告の信頼性
    3. 事業活動に関わる法令等の遵守
    4. 資産の保全
  • 内部統制の構成要素
    1. 統制環境
    2. リスクの評価と対応
    3. 統制活動
    4. 情報と伝達
    5. モニタリング
    6. ITの利用
  • 決算時特有の仕訳を決算整理仕訳とよぶ。
    1. 減価償却費の計上:月次決算時は概算。年度決算時に確定した金額に修正
    2. 各種引当金の計上:期末時点の状況に基づいて繰入額を確定
    3. 費用の見越し・繰り延べ:当期認識・来期現金⇒当期に「見越し」、来期認識・当期現金⇒来期に「繰り延べ」
    4. 棚卸資産の評価:時価の変更に応じて評価額を変更
    5. 有価証券等の評価:同上
  • 試算表とは、記帳金額を集計して勘定科目ごとに一覧にした帳票。合計試算表(借・貸それぞれの合計)と残高試算表の2種類が存在。
  • 税務上は、減価償却費は損金と認めない。減損処理後は税務会計上と企業会計上で異なる帳簿価額を基礎に減価償却費計算を行う。
  • 引当金の4要件
    1. 将来における特定の費用または損失
    2. その原因が当期以前の事象にある
    3. 発生の可能性が高く
    4. 金額の合理的な見積もりが可能
  • 子会社は原則フル連結対象。子会社で重要性の低い会社、関連会社は持分法が認められる。持分法では、持分法適用会社の利益のうち、親会社が有している持分見合いの金額を投資有価証券/持分法投資損益の1行の仕訳で取り込む
  • 裏書手形(受け取った手形を自身の支払いに充てる)の場合、裏書手形勘定を使う。銀行への売却等による割引の場合、割引手形勘定を用いる
  • 生産管理の中心はMRP(Material Requirements Planning)。製品の需要量から、その製品を作るのに必要な原材料を計算し調達する仕組み。
  • ソフトウェアの会計処理は目的別に分けられる。
    • 研究開発目的⇒研究開発費(費用処理)
    • 販売目的
      受注制作⇒請負工事と同様
      研究開発相当分⇒研究開発費(費用処理)
      製品の制作原価⇒製造原価
      製品マスター制作費⇒無形固定資産
    • 自社使用
      将来の収益獲得または費用削減が確実⇒無形固定資産
      それ以外⇒発生時に費用処理