小さなチーム、大きな仕事/ジェイソン・フリード&デイヴィット・ハイネマイヤー・ハンソン

37シグナルズという企業の創業者及び共同経営者の著作で、ビジネスにおける「現実の世界」(拡大路線・会議・予算管理・取締役会・広告やセールスマン)にとらわれないことをとなえた本。
通常こういうやり方をしているから、ということを理由にせず、本当に経営に必要なものは何かを問い直すというのは常に奨励されるべき姿勢だろう。

この本では、従来良いこととされていること、一般的とされていることについて、本来の意味を考え直させるよう問題提起がされている。
今一度、自分の周りで起こっていることについて、考え直してみることが必要かもしれない。

例えば、会社の規模は大きいほうがいいのか。
大きな会社は、みんなから褒められるし、憧れられるが、大きければいいのか。右肩上がりが会社の目標である必要は必ずしもないのではないか。

仕事は長時間やったほうがいいのか。
ワーカホリックは、スタートアップでは奨励されることすらある。しかし、仕事ばかりしていては顧客と価値観はズレてこないだろうか。時間をかけることで解決するだけで本当にいいのだろうか。


といった具合に、従来見過ごされてきたものを再検討する材料が詰まっていると思う。
基本的な姿勢として、ビジネスに必要なコアの部分以外は徹底的に切り捨てていく、というものであり、コアを見抜くために必要な「現実の世界」との決別を促す本だと思った。
大会社を目指し、常識にとらわれたときに、それらが本当に貢献しているのか、今一度見直す際に読むといいだろうと思う。



特に心に響いた言葉を抜き出しておこう。
時間が経ってから読んだならば、これもまた変わるのかもしれない。

  • ワーカホリックはヒーローではない。彼らは危機を救うのではなく、時間を消費するだけだ。
  • 「時間がない」は言い訳。完璧なタイミングは決して到来しない。いつも若すぎたり、年寄りすぎたり、忙しかったり、その他いろいろだったりする。
  • やめたほうがいいものを考える。「なぜ行うのか?」「どういった問題を解決するのか?」「これは本当に役に立つのか?」「何か価値を加えているか?」「それは行動を変えるのか?」「もっと簡単な方法はないか?」「かわりに何をすることができるのか?」「本当にその価値があるのか?」
  • 人を雇うのに良いタイミングは、定められた期間内にあなたの限界を超える仕事があるとき。