大局観-自分と闘って負けない心

棋士羽生善治が年齢を経て、若い頃の勢いではなく、全体を見る「大局観」で勝つようになったということについて、
年齢を経た頭の使い方について語る本。

選択肢の中から、どれを選ぶのか。
短期的な勝負についての「読み」と勝負全体を見る「大局観」が勝負の鍵となる。

将棋の視点からの集中力やリスクの取り方といった頭の使い方をかいま見ることができる。
ビジネスの世界でも、当てはまる事が多くあるように思う。

短期の読みと長期の大局観、
直感・閃きと論理思考、
検索と自らの思考

といったテーマは自分でも考えることの多い、面白いテーマだと思う。

<抜粋>

  • リスクにきちんと正面から向き合い、リスクに伴う恐怖や不安に打ち克つことが、永続的にリスクを取り続ける王道
  • 将棋の場合、一つの局面で平均約八十通りの可能性があると言われているが、その大部分はマイナスの手、つまり、パスしたほうが良い手
  • 集中力をより深くする一つの方法は、可視化の難しい問題に取り組むこと

神話や神学は、一つの物語、ストーリーとして見たときに、その場面をイメージするのが簡単ではないように作られている。ロジックや体系が発展し、深く集中できる状況でしか、理解することができない

①何も考えない時間を持つ事
②一つのことをじっくり考えることに慣れること
③時間と手間のかかることに取り組むこと

  • 停滞期には練習の量で乗り越えるか、質を見直しブレイクするーを起こすか、どちらかが必要
  • 検索に依存してしまうと、逆に自分の可能性を小さくしてしまう。検索をかけながら、検索の世界からは逃げていく、そんな矛盾なテーマが突きつけられている。
  • 直感は論理立てて説明できるもの、それができないのが閃き
  • 人間の場合は実力が上がれば考える手は絞れるため、少なくなる。コンピュータはすべての手を計算する。指される手は一目で分かるほど違う。
  • 三手の読み、とは自分の手、相手が指してきた場合に困る手、それを踏まえての自分の手、と相手の立場を交えて考えることに意味がある


<目次>
はじめに
第一章 大局観
1 検証と反省
2 感情のコントロールはどこまで必要か
3 リスクを取らないことは最大のリスクである
4 ミスについて
5 挑戦する勇気

第二章 練習と集中力
1 集中力とは何か
2 逆境を楽しむこと
3 毎日の練習がもたらす効果
4 教える事について
5 繰り返しの大切さ

第三章 負けること
1 負け方について
2 記憶とは何か
3 検索に付いて
4 知識とは
5 直感について
6 確率について
7 今にわかる

第四章 運・不運の捉え方
1 運について
2 ゲンを担ぐか
3 スターの資質
4 所有について

第五章 理論・セオリー・感情
1 勝利の前進
2 将棋とチェスの比較
3 コンピュータと将棋
4 逆転について
5 ブラック・スワン
6 格言から学ぶこと
7 世代について