アイデアのつくり方/ジェームス・W・ヤング

広告マンの著者が、アイデアを生み出すためのテクニックを示した本。
非常に短く、解説を除けば60ページ程度しかない。

イデアは既存の要素の組合せでしかなく、それを作り出す方法が明確にある。
それは、情報収集に没頭し、それに考察を加えていく、
そこに熱中し頭をいっぱいにした後に、何か別のことを考えているときにふと閃く、という流れである。

思考法の本などでもよく見るものであるし、個人的な経験からも
必死で考えて、結局思いつくのは寝て起きたとき、というのもよくあることだ。
ただそこにたどり着くまでに必要な情報収集、情報の解釈がをどこまで突き詰められるかが重要なことなのだろう。


【目次】
まえがき
この考察をはじめたいきさつ
経験による公式
パレートの学説
心を訓練すること
既存の要素を組み合わせること
イデアは新しい組み合わせである
心の消化過程
つねにそれを考えていること
最後の段階
二、三の追記

【抜粋】

  • イデアの作成はフォード車の製造と同じように一定の明確な過程であるということ、アイデアの製造過程も一つの流れ作業であること、その作成に当たって私たちの心理は習得したり制御したりできる操作技術によってはたらくものであること、そして、なんであれ道具を効果的に使う場合と同じように、この技術を修練することがこれを有効に使いこなす秘訣であるということである。
  • スペキュラトゥールとは、<投機的>というほどの意味の言葉である。このタイプの顕著な特徴は、パレートによれば、新しい組み合わせの可能性につねに夢中になっているという点である。
  • どんな技術を習得する場合にも、学ぶべき大切なことはまず第一に原理であり、第二に方法である。
  • イデアとは既存の要素の新しい組合せ以外の何ものでもないということである。
  • 既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい。
  • 「君の描写によって、この男がこの世界中の他のどの運転手ともちがった一人の独自の人物にみえるようになるまで、この男を研究しなければいけない。」
  • 創造的広告マンはみんなきまって二つの顕著な特徴を持っている。第一は、彼らが容易に興味を感じることのできないテーマはこの太陽の下には一つも存在しないということ。人生のすべての面が彼には魅力的なのである。第二に彼らはあらゆる方面のどんな知識でもむさぼり食う人間であったこと。
  • イデアを、それが実際に力を発揮しなければならない場である現実の過酷な条件とかせちがらさといったものに適合させるためには忍耐づよく種々たくさんな手をそれに加える必要がある。
  • イデアの作られる全過程
    1. 資料集め―当面の課題のための資料と一般的知識の貯蔵。
    2. 心の中でこれらの資料に手を加えること。
    3. 孵化段階―意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる。
    4. イデアの実際上の誕生
    5. 現実の有用性に合致さえるために最終的にアイデアを具体化し、展開させる段階。
  • 大陸移動説」を主張したウェゲナーは、既に指摘されていた事実を組み合わせて「大陸移動説」にたどり着いた。ダーウィンも、上の地層中にある生物化石ちほど複雑な形態をしていることに注目し、「生物進化論」を主張した。しかしこの化石からの証拠は古生物学者によってすでに得られていたものであり、ダーウィンが新たに発見したものではない。
  • どうでもよいことについては中庸の道を選ぶことによって、われわれは自分自身の人生の大目標に全力を集中しえる。