問題解決の実学/斎藤顕一
問題解決関連の本は非常に多いが、その中でも具体的というか、一番仕事に近いイメージを持った本かもしれない。
以下が、この本で示されている問題解決のフレームワークだ。
これ自体、1つ1つタイトルレベルで見ても、分かりきったこと、という印象を受けるかもしれないが、自分の仕事にあてはめてみると、忘れているところ、漏らしているところがあるかもしれないと思う。
各ステップの留意点についても、充実しているように思う。(とはいえ、仕事で似たような体験をしているからそう思うだけなのかもしれないが。)
1.本質的問題の発見
- 情報収集
- 知るべき情報を理解する
- 「3つのC」を理解し、情報を見極める
- 効果的に情報を集める
- 分析
- 整理統合
- 共通項でくくり要約する
2.問題解決方法の見極め
- 解決の方向性のあたりづけ
- 会社のレベルで対応策が変わる
- 結論の裏返しで考える
- 戦略軸でインパクトのある施策を考える
- インフラ構築の必要性も考える
- 売上増大のための具体策立案
3.成果の実現
- 使命を決め、仕事の軸足を決める
- 使命を明確にする
- 使命達成のためのコアプロセスを立案する
- 個人に役割づけをする
- トップの考えを行動に落とし込む
- 社員にトップの考えを伝え続ける
- 具体的な施策に落とし込む
- 阻害要因を排除し仕組み・仕掛けを導入する
- 会社の取組みとして位置づけトップを巻き込む
- 成果を全社で共有し仲間作りを行う
- こまめにフォローし気合を入れる
こうした問題解決のアプローチを学ぶ際に思うのは、ゴールの設定の難しさだ。この本でも「使命を決め、仕事の軸足を決める」という部分で説明がされているが、これが相当に難しい。
大きな会社となれば、1つの使命から、1人1人の社員の行動指針に落とし込むのは難しいなんてものじゃない。それさえできれば後はなんとかなるのでは、と思えるほどだ。
そう考えると問題解決のテクニカルな部分は後回しでもいいのか、とも思えるが、結局のところ、使命を決めるためには現状に関する理解・分析が不可欠だというようにも思う。
演繹と帰納の両面からアプローチすることが確実に必要になるので、情報収集をして、それらを要約していくプロセスの重要性はやはり高いのだろう。
ただ、問題解決さえできれば、全てがうまくいく、というわけでは決してなく、どうあるべきか、という議論ができる土台作りと、その実現に向けた施策の具体化において使うというイメージなのかなと今は思っている。
どうあるべきか、を決める際には、問題解決というよりは、収集された情報をインプットとするにせよ、トップの思いのようなもののほうが重要になるのではなかろうか、と思う。(その思いが適切か、という検証も当然必要ではあるが。)
仕事を始めた頃に読んだ本だが、読み直してみてもいいかなと思える本だった。