「分かりやすい文章」の技術/藤沢晃治

仕事を進める上で、分かり易い文章を書けるということは、非常に重要な基礎能力だ。どんな仕事であっても、どんな立場であっても必要とされる、まさに基礎的なものだと思う。

しかし、基礎的ということは簡単ということではない。継続的に自分がどこまでできているかを見直して、改善を続けていくことが必要だろう。

この本ではコンピュータ技術者として働いてきた著者が分かりやすい文章を書くための5つの技術について解説をしている。

<5つの技術>
■構成の技術→分かり易い文章構成
■レイアウトの技術
■説得の技術
■センテンスの技術
■推敲の技術

■構成の技術
1.まず重要ポイントを書き並べる
2.要点を先に、詳細は後に書く
3.不必要な情報は書かない

ポイントは、これを文章全体だけでなく、段落に対しても意識することだと思う。文章全体を構成する一文一文に対して、上記のことに留意できれば、それだけで文章は相当分かりやすくなる。
文章全体で見れば、冒頭に複数の文章にわたる要旨が記載してあるし、その要旨自体を分解してみても、第一文めに最も重要なことが書かれている、といった具合。

■レイアウトの技術
1.見やすい文字配置にする
2.情報構造が分かるようにする
3.「かたまり」を区別する
4.見出しをつける

2〜4が特に重要だと思う。文章を書く上で、適切なかたまりに分けて、見出しをつけられればそれだけで十分読みやすい。そして適切なかたまりに分ける、ということは情報を構造化して、論理的に考えるということそのもの。

■説得の技術
1.正確な論理で書く
2.読み手の視点で書く
3.自分の感情を抑えて書く
4.比喩を使う

ポイントは論理展開。AならばBとする場合の、Aの正しさと推論の正しさに留意して補強する。

■センテンスの技術
1.センテンスを短くする
2.事前分解しておく
3.曖昧さをなくす
4.キーワードを作る

個人的には「文章術」と聞くとこの章の内容を思い浮かべる。これより前の章については、文章を書く技術というよりは伝えたいことを理解・整理するためのロジカルシンキングといった面が強いように思えるからだ。当然両方とも文章を書くのに必要な技術ではあるが、より狭義の文章術としてこの章が想起される。
この章は細かい技術がいくつか紹介されていて、そのすべてを一つ一つクリアしていくことが重要。

■推敲の技術
1.無駄はないか
2.自然な語感か
3.丁寧な表現か

特にポイントとなるのは1の無駄を削る部分だと思う。語感や丁寧さはときと場合によってかなり異なるが、無駄はいつだって無駄だからだ。
無駄のポイントをいくつか挙げてくれているので参考にしたい。
・重複語、過剰な修飾語、不要な接続詞、無意味な語尾


文章の基本スキルは日常的に見直し、改善していきたいものだ。