すべての経済はバブルに通じる
お金が殖える、経済が成長する、資本主義が継続するといったことについて、
それらの本質を「ねずみ講」だと捉え、バブルがいかに避けられないものであるかを説明する。
概要は以下のとおりである。
- 金融市場の発展により、バブルは必然的なものとなった。
- 金融資本の自己増殖は止められず、サブプライムローンにおいては、リスクテイクバブルとして発現した。
- リスクテイクバブルは、構造的なものであり、過去のバブル(理由の無いもの)とは異なる。
バブルは投資家が理解した上で、他の投資家よりも儲けるために参加する、といった構造的な仕組み等、
従来のバブルの理解を改めるきっかけとなった。
<目次>
第1章 証券化の本質
第2章 リスクテイクバブルとは何か
第3章 リスクテイクバブルのメカニズム
第4章 バブルの実態ー上海発世界同時株安
第5章 バブル崩壊?ーサブプライムショック
第6章 バブル崩壊?ー世界同時暴落スパイラル
第7章 バブルの本質
第8章 二十一世紀型バブルーキャンサーキャピタリズムの発現
<抜粋>
第1章 証券化の本質
- 証券化のプロセスは、?実物資産の権利をまとめる、?権利を細かく分ける、?分けたものを別の投資家に売る
- サブプライムローン証券化のメリットは、?リスクの小口化、?リスクの除去(優良部分の抽出)、?リスクの純化(統計的なリスクの取り扱い)
- 元来言われていた証券化のメリットは、全体のリスクは減少、増加することはないが、証券化により投資家の嗜好にあわせることが可能となり、合計の価値が増加すること。
- 証券化の本質は「商品化」による流動性の獲得。流動性が付与されることで、Value At Riskが低下し、価値が見た目上増加し、商品化を行う者にとってはリスクがなくなる。
第2章 リスクテイクバブルとは何か
- リスクテイクバブルとは、多くの投資家がリスクに殺到することでリスクがリスクでなくなり、結果として参加者すべてが儲かるということ。
- サブプライムローンを借り換えを前提として、供与することで、住宅価格の高騰を引き起こし、それによりサブプライムローンの回収を図るというバブルの自己増殖状態を生み出した。
第3章 リスクテイクバブルのメカニズム
- バブルとリスクテイクバブルは異なる。リスクテイクバブルにはバブルにはない構造上の理由がある。
- バブルには実体経済に関する理由があるものとそうでないものがある。しかし、いったんバブルになってしまえばそのこと自体が理由になる。
- リスクテイクバブルは、リスクを無視して参加したものが得をする状況を生む。運用者と保有者が分離した現代の金融では、運用者は短期的なリターンで評価されるため、バブルに乗らざるを得なくなる。(合成の誤謬)
第4章 バブルの実態ー上海発世界同時株安
- バブルは、投資家はバブルと理解した上で参加する。ぎりぎりまで残ることが最も多く利益をあげることができるチキンレース。みなが理解しているからこそ、一度崩れれば逃げる準備が整っている投資家はみな逃げ出す。これによりバブルは崩壊する。
- バブル崩壊の要素は3つ。
?誰もがバブルと知っていること。
?崩壊のイベントが起こること。
?市場全体がネガティブなムードにあること。
第7章 バブルの本質
- 誰もがバブルと知っていること、さらにいえばバブルだからこそ投資してもうけることがプロの仕事となっている。
- バブルから全員が抜け駆けすることはできない。
第8章 二十一世紀型バブルーキャンサーキャピタリズムの発現
- リスクテイクバブルとは、過去のバブルを超えたキャンサーキャピタリズムの発現。(金融資本の自己増殖)
- リスクテイクバブルには理由がある。必然的なものであり、その点が過去のバブルとは異なる。