自分の小さな「箱」から脱出する方法/アービンジャー・インスティチュート
仕事、プライベート含めた人間関係のポイントを「箱」から説明をする。
「箱」に入るとは、自分のことを正当化し、相手を人ではなく物だと扱う状態、自己欺瞞。
人間関係について本を読むということはあまりないし、意味がないように感じるが、この本はとても面白かった。例が具体的かつ身近なものなので、自分自身の感じてきたことととても近いことがあり、反省する点が多かったからかもしれない。
箱から出るためには、周囲の人間を自分と同じ一人の人間としてとらえて、相手を助けようと思う自分の感情に逆らわずに付き合っていくことだとされている。そうすれば自分を正当化する必要もなくなり、相手を悪くとらえることもない。
これは言葉にすれば単純だが、仕事をする上ではなかなか難しいことかもしれない。
仕事をしていれば、失敗もあるし、うまく行かないことの方が多い。そんなとき、自分のせいにしたくないから、周りのせいにしたくもなる。これが自分はできる人間だと思いたいがための自己正当化だということなのだろう。周りの人間が自分が成功するための障害に思えることだってある。
その思い込みをなくして、自分に非がなかったかと考え、相手を人間として見られれば、本当の意味で仕事の結果に集中できるのかもしれない。
一緒に働きたいと言われる人間になるために、頑張ろうと思える一冊だった。
【目次】
第1部 「箱」という名の自己欺瞞の世界
- 「君には問題がある」
- 自分だけが気づいていないこと
- 何も見えない状態に陥るとき
- さまざまな問題のもとになっている一つの問題
- 効果的なリーダーシップを支えるもの
- 自己欺瞞に置かされている人ほど問題が見えない
- 目の前の相手は「人」か、「物」か
- うまくいかないのは自分だけが悪いのか?
- 箱に入っているのは、あなた一人じゃない
- 箱の中に押し戻されてしまうとき
- あなたを箱の中に追い込む「自分への裏切り」
- ほんとうに相手が悪いのか?自分を正当化できるのか?
- 他の人たちが何を必要としているか
- なぜ自分ばかりが責められるのか
- 自分の気持ちはどこに向いているか
- 箱の問題は、なぜ解決しなければならないか
- 「素直な自分」を引き出す
- 「どうすれば箱の中から出られるか」
- 人として、相手と接する
- 箱の中にいるときにしても無駄なこと
- 自分が楽な人間関係を選択する
- 何のために努力するのか
- 本気にならなければ人はついてこない
- 二度目のチャンスは用意されている
第1部 「箱」という名の自己欺瞞の世界
- 問題がある人物自身には、自分に問題があるということが見えなくなっている。これは一般的には自己欺瞞といわれる。
- 人間は相手が自分をどう思っているのかを感じることができる。自分が相手から、なんとかしなくてはならない問題と見なされているのか、操られているのか、策略を巡らされているのかが、わずかな時間でわかってしまう。
- 見かけ上は同じ状況でも、人は自分を他の人々に囲まれた一個人だと感じているとき、物に囲まれた一個人だと感じているときの2つの種類がある。
- 自分をあるがままの人間として見てもらえるとなると、頭の切れる人はさらに頭を働かせ、スキルを持った人はさらにそのスキルを発揮し、よく働く人はさらに懸命に働く。
- 自分の感情に背いたとたん、自分の過ちを正当化するような見方をし始める。
- 自分を正当化し始めると、自分で作り出した自己正当化イメージを強化してくれる人々のことは味方だと感じ、脅かす人々のことは脅威だと感じる。
- ある場面で自分が箱に入っているような気がする一方で、自分の感情には背いていないと感じていた場合、完全に箱の中に入ってしまっている可能性がある。
- お互いに箱に入っているせいで、互いに問題を作り出し、相手を責める原因を作り出していく。この悪循環を共謀と呼ぶ。
- 自分に気持ちが向けば、結果に集中できなくなる。自分の成果を過大に扱い、他人の成果を過小に扱う。
- 上司が自分にもミスの責任があるといったことで、部下は自分の責任を重く受け止める。