方法序説/デカルト

歴史の授業で勉強するほどの古典。
真実にたどり着くために、それまでの一切の前提を捨て、真理だと確信できるもののみで考えを進めていくという行為により、我思う故に我あり、という第一原理を見出した。
世の中の真理というところまで前提を疑うことはないが、自分の普段の生活でも、何を足場とするかによって、推論の結果は変わるということは理解できる。ここまで前提から疑いだすと、実務的には何も決められないが。

問題を細かく分けることや順序だてて進めること等、問題解決と言われる考え方として今でも語られているものであるし、真理に関わらないものについては常識に従う、という考え方は本当に自身にとって重要なこと意外は中庸で済ませることが最もコストの低い考え方だと言う合理性を感じるものだ。


【抜粋】
第1部

  • 良識はこの世でもっとも公平に分け与えられたものである。
  • 旅にあまり多く時間を費やすと、しまいには自分の国で異邦人になってしまう。
  • 過去の世紀になされたことに興味を持ちすぎると、現世紀におこなわれていることについて往々にしてひどく無知なままとなる。
  • ただ前例と習慣だけで納得してきたことをあまり堅く信じてはいけないと学んだ。

第2部

  • 書物の学問、少なくともその論拠が蓋然的なだけで何の証明もなく、多くの異なった人びとの意見が寄せ集められて、しだいにかさを増してきたような学問は、一人の良識ある人間が目の前にあることについて自然になし得る単純な推論ほどには、心理に接近できない。
  • 私たちとまったく反対の意見をもつ全ての人が、それゆえに野蛮で未開だというわけでなく、それどころか、多くの人が私たちと同じかそれ以上に、理性を働かせている。
  • 論理学を構成するおびただしい規則の代わりに、一度たりともそれから外れまいという堅い不変の決心をするなら、次の4つの規則で十分だと信じた。
    1. 私が明証的に真であると認め--るのでなければ、どんなことも真として受け入れない
    2. 私が検討する難問の一つ一つをできるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くための小部分に分割する
    3. 私の思考を順序に従って導くこと
    4. 完全な枚挙と全体にわたる見直しをして、なにも見落とさなかったと確信すること

第3部

  • 理性が私に非決定を命じている間も、行為においては非決定のままでとどまることのないよう、当座に備えて、一つの道徳を定めた。
    1. 私の国と法律と慣習に従う
    2. 自分の行動において、一度それに決めた以上は、一貫して従う。
    3. 運命よりむしろ自分に打ち克つように、世界の秩序よりも自分の欲望を変えるようにつねに努める。
    4. この世で人びとが携わっているさまざまな仕事をひととおり見直して、最善のものを選び出そう。

第4部

  • 我思う故に我あり というこの真理は、懐疑論者たちのどんな途方も無い想定といえども揺るがし得ないほど堅固で確実なのを認め、この真理を、求めていた哲学の第一原理としてためらうこと無く受け入れられると判断した。

第5部

  • 理性がどんなことに出会っても役立ち得る普遍的な道具であるのに対して、これらの諸器官は個々の行為のために、それぞれ何か個別的な配置を必要とする。

第6部

  • 先の者が到達した地点から後の者がはじめ、こうして多くの人の生涯と業績をあわせて、われわれ全体で、各人が別々になしうるよりもはるかに遠くまで進むことができるようにする。