図でわかる会社法/柴田和史

会社法の概要の図解。
基礎的な内容。


【目次】
第1章 会社の種類と設立についての法律
第2章 株式と株主
第3章 会社の機関:株主総会
第4章 会社の機関:取締役、監査役
第5章 資金調達、計算書類
第6章 企業結合、解散・清算



【概要】
第1章

  • 会社法上の会社は4種類
    1. 株式会社
    2. 合資会社無限責任有限責任
    3. 合名会社:無限責任
    4. 合同会社
  • 株式会社の設立方法
    1. 発起設立
    2. 募集設立
  • 預合:払込取扱銀行から資金を仮、その金を株式の払込金として同じ銀行に払い込み、借入金返済まで引き出さないことを銀行と約束する行為。帳簿上の操作のみで行われ、実際の金銭の移動はなく違法。

第2章

  • 定款に定めを置くことで種類株式を発行することができる
    1. 剰余金の配当額、配当条件等について異なる種類株式(配当優先株式、劣後株式)
    2. 残余財産の分配額、分配条件等について異なる種類株式(残余財産請求権の優先株式、劣後株式)
    3. 議決権制限種類株式・無議決権種類株式
    4. 譲渡制限付種類株式
    5. 取得請求権付種類株式
    6. 取得条項付種類株式
    7. 全部取得条項付種類株式
    8. 拒否権付種類株式
    9. 取締役・監査役の選解任権付種類株式
  • 株式会社は原則有限責任であるが、正義・公正の見地から法人格否認の法理を用いて、債権者が株主に請求を行うケースがある

第3章

  • 会社法上では、社員とは法人への出資者を指し、株式会社においては社員といわずに株主という

第4章

  • 取締役が職務を行う際には、善管注意義務に従う必要がある、ただしリスクを伴う意思決定を行えるよう、ビジネスジャッジメントルールが認められる、適用要件は以下の3つ
    1. 決定に必要な情報を十分に収集すること
    2. 情報を熟知したうえで取締役会で十分に議論すること
    3. 会社の利益になると考えて決定すること
  • 執行役員は取締役でも会社法上の役員等でもないので、会社法の取締役・役員等に関する規定が適用されることはない
  • 会計参与は、取締役と共同して、計算書類およびその附属明細書、臨時計算書類、連結計算書類を作成する。会計参与は公認会計士監査法人、税理士、税理士法人のいずれかでなければならない
  • 指名委員会等設置会社は、アメリカの会社法を規範とし、弾力的で迅速な業務執行と監査委員会および取締役会による充実した監査・監督の実現を目的とする
  • 指名委員会等設置会社には、株主総会、取締役会、指名委員会、監査委員会、報酬委員会、執行役、代表執行役が置かれ、監査役代表取締役は存在しない

第5章

  • 会社が授権株式数の範囲内で募集株式の発行を行うときは、適当と思われる募集株式の申込人に割り当てることができる
  • 会社は事業年度ごとに以下の書類を作成
    1. 貸借対照表
    2. 損益計算書
    3. 株主資本等変動計算書
    4. 個別注記表
    5. 上記計算書類の附属明細書
    6. 事業報告
    7. 事業報告の附属明細書
  • 剰余金の額 = その他資本剰余金の額 + その他利益剰余金の額
    剰余金の分配可能額 = 剰余金の額 - 自己株式の帳簿価額
  • 剰余金の分配可能額を超えて配当された場合、違法配当となり取締役会に責任が生じる

第6章

  • 株式交換とは、存在している2社以上の株式会社間で株式交換契約を締結することにより、一方の株式会社の株主が有するその会社のすべての株式を他方の株式会社の株式と交換するもの
  • 株式移転とは、完全親会社となる会社が存在していない場合に、1つの手続きにより完全親会社を設立し、同時に株式交換を行い、既存の会社を新設する会社の完全子会社にする制度
  • 特別支配株主は、他の株主が有するところの株式を自己に強制的に売り渡すことを請求できる