企業価値評価のすべて/KPMG FAS


企業価値評価業務の概要について書かれた本。
入門的な内容なので、実際の仕事で使うにはさらに細かい内容の本を読み込む必要があるか。


【目次】
第1章 企業価値評価を理解することが、なぜ大切なのか
第2章 企業価値評価を理解するための基本知識
第3章 マーケット・アプローチによる評価と実際
第4章 インカム・アプローチによる評価と実際
第5章 コスト・アプローチによる評価と実際
第6章 価値評価を行うときの留意ポイント
第7章 無形資産価値の評価と実際


【概要】
第3章
・事業価値に対する株価倍率には、売上高倍率、EBIT倍率、EBITDA倍率などがある。
 売上高、EBIT、EBITDAなどの財務数値は、金融収支が反映されていない、事業が生み出す収益力を表す
 これらを指標とした倍率は株式時価総額ではなく、金融収支の元本部分である有利子負債や現預金を調整したあとの事業価値と比較
・株式価値に対する株価倍率には、経常利益倍率、PER倍率、PBR倍率などがある
 他人資本である有利子負債に対する支払い利息を控除した後の損益であることから、株式時価総額と比較
・金融機関の場合、金融資産負債の運用によって利益をあげるため、純資産が重要。PBR倍率を使うケースが多い
 スタートアップの場合、損益が赤字であるため、売上高倍率を使うケースがある

第4章
・WACCを計算する際の資本構成のパターン
 1.対象企業が想定する将来の資本構成
 2.自社の資本構成
 3.類似企業の資本構成の平均値
 4.循環計算(DCF法で求めた株主資本価値を対象企業の株式時価総額と仮定)
・負債コストの算定方法のパターン
 1.事業計画における負債コスト
 2.現行の借入コスト
 3.格付と借入コストの関係
・金融機関をDCF法で評価する際にはエクイティ・アプローチをとることが多い
 エクイティ・アプローチでは、以下の要素が通常と異なる
 - FCFE:FCFのうち、株主に分配可能な分のみを用いる
 - 利益:金利を差し引いたEBTを用いる
 - 有利子負債残高の計画値を用いる(FCFEの算定に資本構成が必要)
 - 割引率には株主資本コストのみを用いる
 - 有利子負債残高の減算をしない(FCFE算定時にすでに考慮)

第7章
・企業結合会計に基づく会計処理は、対象企業の取得価格と純資産簿価の差額を以下の3つに割り付ける作業
 1.対象会社で認識済みの資産・負債の評価損益
 2.新たに認識される無形資産等の資産・負債の時価評価額
 3.のれん