管理会計の基本/千賀秀信
タイトルのとおり、管理会計の基本的な考え方を示す入門書。
NPVやWACCの説明もされており、財務自体に明るくなくても読める難易度で、
管理会計が経営にどのように使われるかをイメージするのには良いだろう。
【目次】
第1章 管理会計で数字を見ると、経営の本質が浮かび上がる
第2章 損益分岐点分析で管理会計入門
第3章 変動損益計算書の活用法
第4章 原価管理のポイントを理解しよう
第5章 短期的意思決定に役立つ考え方
第6章 戦略的意思決定に役立つ考え方
【抜粋】
- 管理会計の3つのテーマ
- 財務会計における原価は製造原価を意味し、材料費・労務費・経費の3つに分類される。
- キャッシュフローの種類は以下の3つ
- 限界利益とは、売上から変動費を除いたものであり、1個販売すると増加する利益を指す。損益分岐点では限界利益と固定費が等
しくなる。
- 損益分岐点を超えた分の売上を経営安全額といい、売上に占める割合を経営安全率という。損益分岐点までの利益は固定費に充
てられることから、経営安全額から生まれる限界利益が利益となる。
- 価格設定の手順
- 変動費の3つの特徴
- 売上高に比例して発生する
- 生産活動、販売活動に連動して必要になる直接費(業務活動原価)である
- 外部から購入した価値であり、付加価値を構成しない
- 売上高に比例して発生する
- 固定費の3つの特徴
- 常に一定額が発生する費用である
- 精算、販売体制を維持し、管理するための費用である(キャパシティコスト)
- 時間とともに発生する費用である
- 常に一定額が発生する費用である
- 固定費をかけることによって付加価値が生まれる
- 準変動費は、固定費と変動費の2つの要素を持っている勘定科目。電気代、ガス代、水道代、電話代等。
- 一定の操業度では一定の固定費が発生し、ある炊事運を超えると急に固定費が増加するような動きをする固定費を準固定費とお
いう。
- 限界利益に占める人件費の割合を労働分配率といい、営業利益の割合を資本分配率という。
- 変動損益計算書で明らかになる5つの経営指標
- 総原価は、原価の3要素から製造原価を算出し、そこに販売費・一般管理費を加算して求める。
- 注文を受けても受けなくともかかる固定費のような、注文を受けるという意思決定には関連しない費用を無関連原価、または埋
没原価という。限界利益がプラスであれば、注文を受けるほうが有利ということになる。
- 目標利益⇒限界利益率⇒固定費予算の順序で決定する。この流れはトップダウンで目標利益を決め、それを前提に販売計画を立
て、セールスミックスによって限界利益率が決まることを前提としている。
- 固定費予算は、人件費予算、販売費予算、その他固定費に分けて考える。
- 業績管理の5つのステップ
- 利益とFCFの違いを生んでいるのは、設備の残存科学と在庫と売掛金。これらがまだ現金で回収されていないために違いが生じる。
- FCFは単年度で分析するより、投資効果が出て投資の回収の判断ができる、中長期の累計値で分析する場合に有効。
- 投資額を回収する原資は営業キャッシュフロー
営業キャッシュフロー=営業利益−法人税・住民税の支払+減価償却費+運転資金の調達高の増減
- 減価償却費は計算上の費用であり、資金の支出を伴わない。非資金費用と呼ぶ。
- 営業キャッシュフローの予想
- 投資計画に関連して初期投資額を算出
- 5年間の減価償却費を予想
- 5年間分の損益計画を作成
- 5年間の必要運転資金(売上債権、在庫、買入債務)を予想
- 投資計画に関連して初期投資額を算出
- 金利が上がると株価が下がる原因
- 自己資本の資本コストを下げる方法は以下のとおり
- 有利子負債を活用
- 自社株買いによって、自己資本を減らす
- 有利子負債を活用