孫子/金谷治訳注

古代中国で著された兵法の古典。 十三篇から成り、日ごろ聞くような言葉も散見され、深く生活に入り込んでいることが分かる。 戦争だけでなく、政治との結びつきについても記されており、思想の一環として戦争が書かれている。戦争の勝敗の原因が、機運とい…

アイデアのつくり方/ジェームス・W・ヤング

広告マンの著者が、アイデアを生み出すためのテクニックを示した本。 非常に短く、解説を除けば60ページ程度しかない。アイデアは既存の要素の組合せでしかなく、それを作り出す方法が明確にある。 それは、情報収集に没頭し、それに考察を加えていく、 そこ…

広報がダメだから社長が謝罪会見をする!/城島明彦

広報関連の調べものということで読んでみた、広報の失敗事例の研究。 プレスリリースの打ち方やマスコミとのつき合い方といった実用的な記載が多いか。不祥事を起こした企業が立ち直ってきた/立ち直れなかった事例を示している。 不祥事が起きていきなり広…

銃・病原菌・鉄(下)/ジャレド・ダイアモンド

前編に続き、人類のうち発展した国・民族とそうでないものを比較し、その要因が何かを明らかにしている。 後編においては、引き続き銃・病原菌・鉄が要因となったことを述べ、さらに大陸の特色から、人類発展の差異を説明している。偉大な発明も、そのタイミ…

銃・病原菌・鉄(上)/ジャレド・ダイアモンド

世界の歴史について、持てる者と持たざる者を分けたのは何か、といった点について考察した本。 何故ヨーロッパ人が征服する側であり、アメリカ・アフリカの先住民は征服される側であったのか、を様々な要素から考察しており、結論として「人種の優劣」は無関…

プロの資料作成力/清水久三子

コンサルティング会社の研修担当者が書いた資料作成ノウハウ本。 内容的には耳にタコという感じではあるが、資料のチェック観点等は、自己レビュー時には使えるだろう。資料を誰のために書くのか、というターゲット分析に多くの時間を割くべき、 という点あ…

起業のファイナンス/磯崎哲也

会計士の著者がベンチャー企業が株式上場するために必要なファイナンス知識をまとめた本。 ファイナンスの基礎的な知識からベンチャー固有の事情への対応について具体的に書かれている。総論的なところでは、日本はベンチャーに冷たい、というイメージ論は実…

マッキンゼー式 世界最強の問題解決テクニック/イーサン・M・ラジエル、ポール・N・フリガ

世界有数の経営コンサルティングファームであるマッキンゼーOBの著者が、マッキンゼーで学んだテクニックを紹介した本。 新入社員当時に読み、その頃はなんだかいろいろ小難しいことが書いてある気がしたものだが、 今読むと当たり前のように感じることが多…

使える!経済学の考え方/小島寛之

経済学の理論が、幸福・公平・自由・平等といったテーマに対し、どのように取り組んできたのかを概説した本。 経済学という分野の社会に対するスタンスを理解できる。経済学を学ぶ前提として、何を良しとして構築された理論なのかを学ぶことは効果的であるよ…

理科系の作文技術/木下是雄

物理学者である著者が、他人に読んでもらうことを目的とした「仕事の文書」を対象に、 いかに読みやすく、わかりやすい文章を書くかを説いた本。基本的なことという印象だが、当初意識していたことでも慣れによって忘れてしまうこともあるので、 ときには基…

「食糧危機」をあおってはいけない/川島博之

環境学者、農学者の著者が「食糧危機」が本当に眼前の危機として存在するのか、といった点から論証した本。 データが多く、説得力のある議論になっている。主には、 食糧生産は、単位当たりの収穫としてまだまだ伸びる余地がある。 (日本のように集約的な農…

私塾のすすめ/斎藤孝、梅田望夫

教育学者である斎藤孝と、シリコンバレーで活動するコンサルタントの梅田望夫の対談本。 ウェブ進化論を読んで、感動した記憶がある。この本を読んだのもずいぶん昔になってしまったが。現実前提の安定志向では生き抜くことが難しくなった現代をサバイブする…

BCG戦略コンセプト/水越豊

BCGの提唱する競争優位のための戦略コンセプトを、6つの視点から解説した本。 BCGが発信し、定着してきた戦略コンセプトが紹介されている。こうしたコンセプトを知っていると知らないでは、問題にあたったときの姿勢が変わってくるので、 知っているに越した…

戦後日本経済史/野口悠紀雄

戦後日本で「日本型」とされた経済体制は戦時に構築されたものであり、日本の伝統でもなんでもない。 こうした事実を戦時から戦後の経済史を通じて明快にした本。終戦は経済体制の分岐点にはなっておらず、戦時体制が残された。 そしてそれには当時の官僚が…

白い仮説 黒い仮説/竹内薫

サイエンスライターの著者が、世の中の事象はすべて仮説(完璧な事実といえるようなものはない)であり、 その信憑性にグラデーションがあるだけだ、というテーマに基づいて、 仮説の信憑性を、マイナスイオンから宇宙の成り立ちに至るまで取り上げていく本…

国際協力 その新しい潮流/下村恭民、辻一人、稲田十一、深川由起子

国際協力に関する歴史、及びその中でも特に日本の実施してきたODAの歴史を概観した本。 教科書的な記載ではあるが、国際協力の基礎的な流れを知る上では役に立つ。 冷戦後の東西対立、第三世界の台頭といった歴史の流れにあわせて、援助を実施する先進国側の…

借金を返すと儲かるのか?/岩谷誠治

簿記が必須となると、敬遠されがちな会計について、 経営企画や経理といった特別会計に関わる業務を行う以外の、 いわゆる普通の一般社員が使うという観点から会計を語る本。会計の概要的な仕組みを分かりやすく伝えている。 ただこの本で書かれている本当に…

日本の税金/三木義一

税法の専門家である著者が日本の税金を制度別に解説し、他国との比較を行いつつ、議論のポイントを示している。 税金の設計は国家の設計であり、どのような目的で誰からどれだけの税金をとるか、ということが国民の経済活動のインセンティブを大きく動かすこ…

なせばなる民営化 JR東日本/松田昌士

国鉄からJRへの民営化において、改革の最前線で検討を行った松田昌士による改革前夜から事後までの回想録。 国鉄民営化という一大事業を成功させるために、「民営化」という一面だけでなく、それに伴う組織、人のあり方までを検討できたからこそその成功があ…

ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・脅威の速読術/立花隆

立花隆が連載していた「私の読書日記」を集めたもの。 ジャンルを問わず様々な本の書評が並べられている。 また冒頭では大量の本を読むための読書術にも触れられている。 ぱっと全体像をつかむ「絵画読み」、時系列に逐次的に読み進めていく「音楽読み」の2…

自分の小さな「箱」から脱出する方法/アービンジャー・インスティチュート

仕事、プライベート含めた人間関係のポイントを「箱」から説明をする。 「箱」に入るとは、自分のことを正当化し、相手を人ではなく物だと扱う状態、自己欺瞞。人間関係について本を読むということはあまりないし、意味がないように感じるが、この本はとても…

沖縄「自立」への道を求めてー基地・経済・自治の視点から

沖縄経済の自立の可能性について、沖縄に住む側の立場から語られた論文集。 沖縄経済は基地がなければ自立できないのか、という問題について、基地以外の土地利用によって得られる経済効果をふまえて考える。どちらか側だけの主張では解決できないだろうが、…

政治のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ/池上彰

政治の基礎をと思い、読んでみたものの、さすがにこのレベルのことは知っているという感じ。 自信がなければ読み直してみるのも良いかもしれない。こうした大前提のルールをふまえて、実際に政治を動かしているのはどういった仕組みなのか、 といったところ…

歴史は「べき乗則」で動く/マーク・ブキャナン

自然界に存在するべき乗則から、人類の歴史を語る本。 べき乗則とは、何かが1つ増えたときに、関連するものが何乗かになる法則をいい、例として地震があげられている。 地震はエネルギーが二倍になるたびに、発生頻度は四分の一になるというべき乗則に従っ…

体制維新ー大阪都/橋下徹 堺屋太一

大阪府知事から大阪市長となった橋下徹氏が、 大阪の問題点、都知事時代の経験からくる政治の進め方について語る本。組織に明るく、政治とは体制を変えることだと断言するやり方は、 マネジメント論としても面白い、大阪は日本に先駆けて問題を体験している…

弱い日本の強い円/佐々木融

日本銀行、JPモルガンチェースにおいて金融業務の経験を積んだ筆者が、円の強さを中心として、為替相場の基本を書いた本。 特に円高になる原因として、ニュースで普段語られているような国力や人口減少が無関係であること、また円の動きを理解するためにはド…

齋藤孝のざっくり!世界史/齋藤孝

世界史の流れを5つの力を中心に語る本。 5つの力とは、 モダニズム 帝国主義 欲望 モンスター 宗教 であり、これらを軸に流れを振り返る。世界史を勉強した細かい記憶はなくなっていくが、ときどき全体の流れを振り返って、 大局的に捉えた内容は記憶から…

六〇〇万人の女性に支持される「クックパッド」というビジネス/上阪徹

日本最大のレシピサイトと言われるクックパッドについて、考察した本。 流行るWebサービスの条件を考える上で参考になる内容が書かれている。特に、Webサービスを収益化するために必須の広告がサイトの内容とマッチしていることが ユーザにとっても広告主に…

研究者の仕事術/島岡要

プロフェッショナル根性論として書かれた連載をとりまとめた書籍。 研究者が生産性高く働くための考え方について書かれているが、研究者以外の知的労働者にも共通して言えることだと考えられる。その要諦は冒頭に要約されており、以下のステップにまとめられ…

経済危機のルーツ/野口悠紀雄

1970年代に作られた世界経済の枠組み、それらが今に至るまでどのように変化してきたのか。 そして日本がいかにその変化に取り残されてきたか、という観点から経済史を振り返る本。各国の経済情勢について持っている漠然としたイメージ(アイルランドは貧乏、…